自分がアイドルだという自覚があるのか、度々疑問に感じる。知らぬ間に危険な目に合わないか不安になる。この前もドッキリという名目で控え室に入った途端に顔面にパイを投げつけられる動画をSNSで見かけた。あそこまでバレバレなのによくもまぁ引っかかるものだ。「それじゃあ! 次の土曜日ね! おねーちゃん練習無いよね?」「ええ、そうね。楽しみにしているわ」この時の私は、知らなかった。花咲川の制服を着たつぐみさんの、圧倒的破壊力を──。─制服デートで惚気けたい その一─「……いつまでここに居ればいいのかしら」時は過ぎ土曜日。日菜に「つぐちゃん驚かせたいから、一回どこかで時間を潰してきて!」と言われてしまったので、丸山さんがバイトしているファストフード店で学校の課題をして時間を潰していた。それにしても、長い。朝の九時に訪れてから、かれこれポテト三つ分くらいの時間が経ってしまった。つぐみさんと丸山さんはもう家に来ているはずだ。制服を着せるだけならここまで時間はかからないはずだが……と、思慮を巡らせる。また日菜が二人を玩具にしているのかしら──?「……あら?」よからぬ妄想に走っていると、カバンに入れていたスマホに通知が来ていることに気づく。相手は、当然ながら日菜だった。「やっと終わったのかしら…………っ!?」来ていたのは、メッセージではなく写真。それも複数。まず初めにやって来たのは、パスパレのステージ衣装を着た、顔を真っ赤に染めたつぐみさんの写真。白鷺さんの黄色い衣装は、普段は奥ゆかしい服装に身を包んでいる彼女を間違いなく『主役』に仕立てあげていた。最も、私にとって彼女はいつでも主役だが。次にやって来ていたのは真っ白なワンピース姿。夏場に似合いそうな爽やかさと、まだまだ残っている『少女』としての色をより強く魅せる。やはり写真を撮られているからか、非常に恥ずかしそうだった。疾駆の空 宇田川 巴 コスプレ衣装更に、どこから調達したのか分からないが、女性用のスーツ。やはり幼さが残るつぐみさんと『大人』の代名詞であるスーツのアンバランスさはあるが、それを差し置いても新社会人としての後輩感が実に素晴らしい。

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