獅白ぼたんは思うんですよ」白きライオンの少女、獅白ぼたんは、前回の試合で崩壊しきった会場が復元していく様子を見ながら、先輩たちに呟く。「試合って、何も会場だけでする必要って無いんじゃないかなって」「ふむふむ。それはそれは、中々に攻めた思考だねぇ」ぼたんの言葉に答えたのは、白き狐の少女である、白上フブキだ。真っ白な毛並みを風に遊ばせながら、ぴょんと後ろの席からぼたんの隣へと飛び跳ねた。「ま、嫌いじゃないぜ。その考え方」ニッと笑い、ぼたんのポップコーンをひょいと摘まむ。「うん、美味い」「ちょ、先輩」「良いではないか。あとで好きなものをあげるから」もぐもぐと咀嚼し、飲み込んだ後でこう続けた。「勝利以外なら、ね」「……フブキ先輩、次は私と戦ってみます?」ぼたんが睨む。その視線に、ほんの少しだけ冷たいものがフブキの背中を伝った。「……まぁ、気が向いたらね」「えぇ、楽しみにしてます」「次の試合は誰なのら?」「えーと、ちょっと待ってね」スバルがルールブックをパラパラとめくる。「次の試合は、ぼたんとわための予定なんだけど」「あ、私なんだ」ぼたんがポップコーンを頬張りながら呟く。「でも、わためぇは遅刻中なのらよ」「そうなんだよねぇ」試合を進めようにも、選手が揃わないという状況に、頭を抱えるしかなかった。「うーん、じゃあこうしません?」ぼたんは観客席から会場に飛び降りた。かなりの高さがあるはずなのに、着地の音は小さく小気味よかった。「私の相手、フブキ先輩でも良いですか?」会場がざわつく。ぼたんが犬歯を出して微笑んだ。「構わないでしょう? どうせしっかりした順番も何もないような、ゲリラ大会だし。それに、ホロライブ 戌神ころね コスプレ衣装不戦勝よりは盛り上がるんじゃないですか?」スバルに問いかけるぼたん。それは質問なのか、それとも脅迫なのか。表面上、ぼたんの表情は笑顔だった。「で、でもフブキ先輩は本来……」「いいよ、構わないさ」観客席から返事がした。ぼたんよりも高く飛び出したフブキは、全く音もたてず着地する。「その勝負、受けて立つよ」「フブキ先!?」スバルが叫ぶ。「ほ、本当に良いんですか? 本来なら、フブキ先輩は不参加の予定なのに!」「え、そうだったんですか!?」これには、ぼたんも驚きを隠せなかった。「あんなに私を煽ってきたのに……!」「あれは後方腕組み狐として、仕事してただけさ」「なんて思わせぶりな……」「でも、私も戦えないわけじゃないからね。あくまで『戦わなかった』だけ」
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