「ぅぅ…Aqours5周年 黒澤ルビィ コス衣装…しずくちゃんからの風当たりが強いよぉ」実際、それは名誉なことなのかと彼方に訊いても、同じように小首を傾げるかもしれなかった。自分のことは自分がよく知っているから。「じょ、冗談ですから泣かないで下さい。いつも感謝してますから」早急な訂正と共に、しずくの手が彼方の頭に乗せられる。彼方がその行動に少し呆然としている間も、ゆっくりと撫でられた。優しくて、暖かな手で撫でられていると、急にそれが取り上げられた。「あ、ごめんなさい! ついかすみさんや璃奈さんにやっていることを……」どうやら無意識でやっていたらしく、しずく本人もそれに気付いたら頬を赤くしていた。理由を聞いた彼方は納得はしたものの、頭に残る微かな感触を自分の手で触れて確かめる。妹や後輩相手によくすることはあるが、自分がされたのはいつぶりだろうと考えたところで、すぐに思い出せないところから大分前なことに気付く。まさか後輩にやられるとは考えたことはなかったが。でも、悪くない気持ちではあった。例え年下だとしても、されて嬉しいものに年齢は関係なかった。「ねぇしずくちゃん、もう一回」彼方なりの真剣な表情でおかわりを要求したが、それに対してしずくは消極的だった。「え、あの……流石に彼方さんは年上ですし、抵抗があるんですけど」「頭なでなでに年齢は関係ないよ。さぁ!」くぃっと彼方はしずくに頭を差し出す。既に年上としての威厳をあまり持っていない彼方にとっては、しずくの言い訳など心に響かなかった。だが彼女は、素直に首を縦に振らなかった。「無理です! ほ、ほら。早く行きましょう!」「えー! 彼方ちゃん、しずくちゃんから頭撫でてもらわないとやる気が出ないよぉ!」Aqours5周年 渡辺曜 コス衣装今日一の声を出してる割にやる気がないと豪語する彼方の行動に矛盾しかないわけだが、それくらい彼方は彼女のなでなでを求めた。しかし、こんなに求められても尚、しずくは断り続けた。「無理なものは無理ですから! 諦めて下さい!」無理と言われてしまうとそれに逆らいたくなるものが人間で。その想いを宿してる彼方はどうしても食い下がる。更にしずくの顔に近付いて、文字通り目と鼻の先まで、許可を取るまで離れない意思を示した。
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