「『ゆる憧れの先 丸山彩 コスプレ衣装キャラフェス』?」「そうそう〜そこの羽丘の代表で選ばれたんだ〜」「へぇ、すごいじゃん」夕暮れの帰り道、蘭とモカが談笑していた。が、「でさ、ちょっと蘭、代わりに出てくれないかなって」「────いや、普通に嫌だけど?」「不運なことに予定が被っちゃったんだよ〜。Afterglowも友達もみんな明日空いてなくて……」「いや無理だって!?」「頼むよ蘭〜、一生のお願い〜。きっと蘭なら伝説の羽丘パンボーになれるって〜。 保証するよー」「この前も『一生のお願い』使ってなかった!? てかモカがやる予定のキャラ、そんな名前なの!?」翌日、『ゆるキャラフェス』が開催された。各地から売れなくて暇なゆるキャラが参加、握手会とライブを行い、ナンバー1ゆるキャラを決めるというものだった。頭がメロンパン、体はフランスパン数本のまるでキメ。ラのゆるキャラ、そして羽丘女子学園代表の『羽丘パンボー』は他のゆるキャラと同じく、握手会でちびっ子達の相手をしていたのだった。「ねぇ! パンボーの好きなパンってなに──?」「うーん〜、やっぱりフランスパンかな〜。すっごく腹持ちが良くて美味しいんだ〜」──そんな対応しながらパンボー目当てのちびっ子を捌いていく。握手会が終わると、ゆるキャラ達はぞろぞろとバックヤードへ移動し始めた。パンボーもバックヤードへ向かうと、様々なゆるキャラが〝中身〟を露わにしていた。するとパンボーの元に、「やっぱり青葉さん、来てたんだんだね。お疲れ様〜」──商店街代表、ミッシェルである。その熊が差し出す水をパンボーはと受けとった。「美咲ちんじゃん〜。おつ〜……って奥沢さん?」途端、パンボーの声が少し裏返った。「……?ハロウィンラビット 花園 たえ コス衣装青葉さん、この後のライブで組む相手いるの? あたしはマリーと組む予定だけど」「え!? みんなソロじゃないの?」ミッシェルの言葉にパンボーは目に見えて動揺した。その動揺からミッシェルは疑問を持ち、質問する。「ねぇ、待って? あなた本当に青葉さん?」「あ、いや、ごめん。あたしは──」パンボーの頭が外れ、黒のショートヘアーと特徴的な赤メッシュが露わになる。その人物はまさに──、「──美竹さん!?」今度はミッシェルが動揺した。
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