は、しっかり者ですわね」ダイヤがこぼすように言う。振り返ると、ふいに目が合った。善子はうまく返そうとして、口籠る。素直に褒められると、なんだかくすぐったかった。「と、当然のことをしただけ、よ」冷蔵庫から真っ白な箱が出てくる。箱の中にはきっと、立派なケーキが入っているはずだ。ダイヤの手が、箱の表面をそっと撫でた。「それも、あくまで善子さんが気遣ってくれてのこと」「ヨハネは堕天使よ」これは、照れ隠し。ダイヤにもそれは伝わったらしい。少し意外なくらい、柔らかく微笑んでいる。「少し調子が出てきたみたいで安心しました。さっきまで借りてきた猫みたいでしたし」「どーいう意味よ」ダイヤは曖昧に微笑んだ。ご両親が留守でも、お邪魔している身だ。善子が緊張するには充分だったのだ。いつもは堕天使が顔を出すシーンも、どこか控えめだった。それを見兼ねて気を遣ってくれたのだと、善子は思った。「遅くなりましたが、今日はルビィのためにありがとう」「仲間なんだから、当たり前じゃない」台所を後にしながら、そう返す。善子さん、と肩越しに呼ばれて振り返った。「これからもルビィのこと、よろしく頼みます」しっかり者。その言葉が似合うのは、私じゃない。その言葉を、そっと飲み込んだ。ダイヤの後をついて廊下を戻ると、にぎやかな声が聞こえてくる。「ハグ」「はぐー」ルビィと果南がなぜ高海千歌 花冠編 コスプレ衣装かハグしていた。なんでも、ルビィのお願いをひとつずつ聞くゲームらしい。王様ゲームと違って、お願いするのはずっとルビィのようだった。甘え上手の特権だなと、善子は思った。
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