やはり自分が好きな物には代えられないと思い

 スクールアイドルエマ・ヴェルデ コスプレ衣装という立場で活動してはいる物の、お気に入りのアニメのイベントと聞いて、こっそり変装をして秋葉まで来ていたせつ菜。周囲には男性が多く緊張してしまうも、やはり自分が好きな物には代えられないと思い、意を決してここまでやってきたのである。そんな時、会場を探して右往左往していた彼女に声をかけて来る人がいた。「ふひひ……! さっきからここのところをウロチョロして、どうしたの……?」「えっ、えっと……」道に迷っていた彼女からすれば渡りに船という気持ちであったはずなのだが、そうはいかない。彼女に声をかけて来たのは男であった上に、見た目が非常に異常だったのだ。まるでせつ菜の倍はあるかのようなサイズで太っているし、異常な体臭を周囲へと振りまいてしまっていたのである。これには、流石に普段から優しい性格の彼女でも、困惑せざるを得ない。しかし、相手は意気揚々と話していたのだ。「困っているなら、お兄さん助けてあげちゃおうかなぁ……!」「だっ、大丈夫ですから……! 私、行きますね……!」脂ぎった声に恐れをなしたせつ菜は、慌ててその場から逃げ出そうとするが、そう簡単に行けばどれだけ楽第2巻 中須かすみ コスプレ衣装であるか。当然のように、あらかじめ作戦を用意していた男は、彼女がそうするよりも早く、手に持っていたスマホの画面を見せつける。そして、それを見たせつ菜は、即座に意識を失ってしまったのだ。

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