喫茶店覚醒後 西木野真姫 コスプレ衣装に呼び出された時点で、彼女の息のかかった店員さんとかいるのかな、と重い気分と身体に鞭打ってやってきたけど。黒澤ダイヤちゃんが呼び出してくる時点で、彼女が自由に使える喫茶店だってのがわかるのに、私が来た瞬間「いらっしゃいませ~」って軽い調子の声が聞こえてきたのに、お客様は誰一人いなくて。普段なら美味しいスイーツを作っているコックさんが見えるのに、今はスーツ越しにも筋肉隆々だってわかるマッチョマンなんだもん(普段からマッチョマンが美味しいスイーツを作ってる可能性はある)コックのふりをして戦艦に侵入する……そんなハリウッド映画を見たような気がするけど、そんな料理人が雁首を揃えて私を眺めているんだもの――その上ダイヤちゃんも和装で気合十分なんだもの。こんな状況に置かれたら、元気百倍のアンパンマンだって「顔が濡れて力が出ない」とか泣き言を言って。「さっき顔変えたばっかしでしょ」とバタコさんにツッコミ入れられつつ、相手に立ち向かわないといけない――パン工場ってのはとんだブラック企業である。「わたくしが何を言いたいのか、よくご理解なさっているご様子で」声の調子は冷たい、どれくらいの冷たさかと言うと、指を入れた瞬間に「つめたっ!」って入れた指を引っ込めてしまうくらい。困った私も「間違えましたごめんなさい」と踵を返して逃げ出したいところではあるけど、ダイヤちゃんを取り囲んでいる店員さんも、美少女のくせしてなかなか運動センスのありそうな筋肉の付き方をしている。
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