さらさら結ヶ丘 嵐千砂都 コスプレ衣装と心地良い風が吹いて、頭上の深緑を揺らしていく。夏の日差しが気になり始めたこの頃、木陰になっているこのベンチは、一休みするのにもってこいだった。今日の日曜日は練習のない日だから、たまにはのんびりお散歩もいいね、ってことで。ルビィたち一年生で公園に集まることにした。この辺りでは一番大きな公園で、屋台が出店していたり、路上パフォーマンスをしている人がいたりして、歩いているだけでも楽しくなっちゃう。アイスクリームの屋台で、ルビィと花丸ちゃんはバニラ味のソフトクリームを買って、善子ちゃんは『悪魔の戯れ、つぶつぶ胡椒のソフトクリーム』というのを買っていた。それぜったい辛いよね…!?平然と食べられる善子ちゃんの味覚ってすごい。善子ちゃん、恍惚とした顔で何かぶつぶつ言ってたけど、うまく聞き取れなかった。「ソフトクリーム、甘くて美味しいずら〜。ねぇ〜、ルビィちゃ〜ん♪」「そ、そうだね! 花丸ちゃん!……あ。ここのベンチ空いてるよ、座って食べよ?」ちょうど日陰になっているベンチを見つけ、三人で腰掛けた。善子ちゃんを真ん中にして、右側に花丸ちゃん、左側にルビィ、って。木の葉のこすれる音や、近くにある噴水の音に聞き入ってると、知らずと鼻歌を歌っていたり、サンダルを履いたつま先でリズムを取ってみたり…。ふふっ…。ルビィの唇から小さな笑みがこぼれた。善子ちゃんは気付いたみたいで、薄目を開けてルビィをちらっと見た。いっしゅん目を合わせただけで、善子ちゃんはすぐに目をそらす。「日陰で風が吹いて、気持ちいいわね〜。噴水もあって、鳥の声が聞こえたりしちゃってさ。なんか歌いたくなっちゃわない?」「ほんとずら〜、ワクワクウィーク! ずら〜」「……そうだね! 善子ちゃん、花丸ちゃん!」大好きな二人といっしょに、同じ時を過ごせるって、とても嬉しい。ルビィのソフトクリームが溶けかかってきたのは、気温のせいだけじゃない。きっとルビィの心もポカポカしているから…。溶けてきたソフトクリームを、ちろちろと舌先で舐めている途中、突然、花丸ちゃんが「ああー!」結ヶ丘 葉月恋 コスプレ衣装と大きな声を上げた。ルビィはびっくりして、ソフトクリームをこぼしちゃうところだった。花丸ちゃんはソフトクリームのコーンをさくさくさくっと口に入れ、ごくんと飲み込むと、とても興奮した声音で叫ぶ。「ルビィちゃん! あそこ見て!」「え、なに? ……あっ!」花丸ちゃんが指差す方を見やると、色とりどりのたくさんのバルーンが目に飛び込んできた。噴水のすぐそばだ。自転車の荷台にバルーンがくくり付けられていて、お姉さんが二人、小さい子たちに配っている。はしゃいだ楽しげな笑いも聞こえてくる。
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