弦巻家之墓と刻まれた石彫を撫でる

 目が新作への挑戦 氷川紗夜 コス衣装覚めた時、弦巻こころの墓の前だった。太陽は雲に隠れ、空気は半袖の自分には少し肌寒い。どうやら泥酔した挙句、ここに来てしまったらしい。昨日はこころの一周忌だった。だが、あたしは酒に逃げた。情けない話だが、あたしにはそうするしかなかったのだ。鈍色のこの墓は、こころの墓に相応しくない。なんで、こころがこんな所に閉じ込められなきゃいけない?もっと、広い所があの人には似合っているだろう。本音は、海に流してあげたかった。そして、骨が海に溶け込んで、蒸発して、雨になって、またこの世界に降り注がれてほしい。弦巻家之墓と刻まれた石彫を撫でる。ここに、こころはいる。たかが石に、生と死が仕切られている。生と死は対極なんかじゃない。今も着々とあたしは死へと向かっている。でも、別に死ぬのは怖くなんかない。あんたがいるから。今じゃ、あんたに振り回されていた日々も、堪らなく愛おしい。逆に、今のあたしには、未来が見えない。何も照らすものが無いのだ。過去は過去なんて、切り替えられる気配がしない。きっと、これからは過去にしがみつくだけの人生だ。そのくせ、こころが死んでしまったという過去から逃げたい。この矛盾に、あたしはどうすることも出来なくなっている。酒を体内に流し込む。酒の缶の数が、あたしが今日成し得たものの数だ。多ければ憧れの先 丸山彩 コスプレ衣装多いほど、忘れられる。一瞬忘れたところで何も変わらないと分かっている。それでも飲んでしまうあたしは愚かなのだろうか。成人を迎えたハタチの女が酒に逃げる。うん、アルコールが回った頭で考えても、健全ではない。

コメント