「…ホロライブ 姫森ルーナ コスプレ衣装湊あくあさん。」「は…はい。」自然に、視線が下がる。懸命に顔を上げて見つめたメイド長はその丸眼鏡の奥から、少し穏やかな視線を向けていて…普段と違ったその雰囲気に、ああ、と、また顔を下げた。もう、解っていたことだ。あてぃしは…。「先程、ヨーガ様からあなたに指示が下されました。」…メイド長、いつもならもっとつり上がった目をしているのに。そんな今更になって優しい顔を見せられても…ああ、そうなんですね?…心の準備をさせるために、こんなに温和な雰囲気で、察しさせようとしているんですね?「…はい。」「…湊あくあ、そなたに…永の暇を使わす、とのことです。…今まで、お疲れさまでした。」…暇。…つまりは…。「…クビ、ですか。」「時間がなくて申し訳ないが、明日の夜、時計台の鐘が鳴り終わるまでに屋敷を出てくれと。荷物を運び出すのに他のメイドの手を借りても構わないとおっしゃっておいででした。」事務的な口調で伝えることだけを伝えた後、ふう、とメイド長が溜め息をつく。「…もう少しで…何もかもものになったかもしれないのに…まあ、仕方がない。こんな時勢だからね。…ヨーガ様を恨んじゃいけないよ。こんな結末にはなってしまったけれど…ヨーガ様はあくあさんには目をかけてたんだ。代わりの仕事先の紹介状も出してくれたんだから。」「…ありがとうございますと、お伝えください。…お世話になりましたと。」震える声で、精一杯それだけをメイド長に伝え、あてぃしは紹介状を受け取り、自室として与えられていた部屋に戻った。…簡素な部屋だ、荷物はそんなにない。せいぜい私服が数着と、趣味のゲームがいくつか。これだって…ゲームハードはホロライブ 桃鈴ねね コスプレ衣装月々のお給金を溜めてなんとか買ったやつ、買い食いの一つもしないでお金をためて、お給金から気になるゲームを月に一本買うのが楽しみだった。…思えば、12でこのお屋敷に来てから、16になる今日まで…良くしてもらったなあ…。
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