家族の悲しそうな表情を思い出し、少女はやわらかな牢獄につながれていた

 借り受けたVTuber 鈴木ヒナちゃん コスプレ衣装ホテルの一室。座っただけで体が沈みそうなソファ、分厚いガラス張りのテーブル、いったいいくらなのかも分からない花瓶には生花が活けられていた。その他にも上等だと分かる調度品に囲まれて、それでもなお部屋の主は浮かない表情で床を見つめている。親同士で決められた結婚だった……らしい。ほとんど詳しい話も聞けないまま「契約だから」と、連れ去られるようにこの街にやってきてこの一室に押し込められている。家族の悲しそうな表情を思い出し、少女はやわらかな牢獄につながれていた。しかし、と少女は懐から三角形の透き通ったクリスタルを取り出す。まだやりたいことがあった。できるかどうかも、それが本当にあるのかも知らないまま。少しでいいから時間が欲しいと逃げ出してみてはみたものの、結局できたのはラーメンなる未知の食べ物を食べただけ。そうして哀れにも行き会っただけの食事処の店主に救援を求めるなどと。流されるままの己の不甲斐なさに涙が出そうだった。暗く沈んでいきそうになる思考を遮るように耳朶を打ったのは乾いた音。パンパンとふたつ。壁越しのくぐもった叫び声と、少し遅れてどさりと何かが倒れる音。「なにが……？」少女は意を決してドアを開けるのだった。エルフの集団などという、目立つどころの騒ぎではない集団の足取りは、少し聞き込みをするだけですぐに知れた。なにやら物々しい雰囲気で、この街で一番高級なホテルをまるごと貸し切っているらしい。なんとも豪勢なことだ。そのホテルの受付で支配人に聞いたところによれば、いかにもエルフというマナーの悪さなのだとか。所作は上品なのだが、排他的で他種族を見下しがちなのだ。希少な長命種であることもそうなのだが、魔術と呼ばれるオカルトパワーに親しむ種族であることも関係しているのかもしれない。無論、件の食い逃げ犯であるところVTuber 周防パトラ コスプレ衣装 のあのお嬢さんのように、すべてがすべてそういったステレオタイプだということもないのだろう。そもそも店主は、エルフという種族と親しくした経験がない。「種族でどうこうってのもダサいよね」独り言ちつつエレベーターが上昇していく浮遊感に身を任せる。