ちぃちゃん、今日の服も可愛いね!とりあえず中に入ってよ。

 「ちぃスーパースター!! 全員 コスプレ衣装ちゃん。今度の日曜日の夜、空けておいてくれないかな?」季節は六月。各地で梅雨入りが発表され、雨が降る日も多くなってきた今日この頃。そんなある日の帰り道。かのんちゃんは少し照れくさそうにそう言った。「今週はバイトも無いし大丈夫だよ。それにしても、まだデートに誘うの緊張してる?」「も、もう!ちぃちゃん、からかわないでよ!」「ふふふ、ごめんごめん。でも、楽しみにしてるね。」かのんちゃんと私は恋人同士。遊ぶ約束なんて、幼なじみの私たちは数え切れないほどしてきたはずなのに、私たちの関係に名前がついてからはどうにも緊張してしまうようだ。顔を赤らめながら約束をするかのんちゃんはとてもかわいいから、私はお誘いをうけるこの瞬間が好きだったりするのだけれど。「じゃあ、また明日。雨降ってるから気をつけてね。」「うん、かのんちゃんもね。傘持ってくれてありがとう。また明日!」ういっすー!と指を合わせて私たちはそれぞれの帰路についた。約束の日曜日。どこに行くの?と何度か聞いてみたけれど、かのんちゃんは「当日のお楽しみ!」の一点張り。とりあえず集合場所であるかのんちゃんの家へと向かってみる。すると、かのんちゃんは余程楽しみだったのか、“CLOSED”の看板を背に玄関先で待っていて、私の姿を見るやいなや小走りで駆け寄ってきた。「ちぃちゃん、今日の服も可愛いね!とりあえず中に入ってよ。」「あ、ありがとう。かのんちゃんもすごく似合ってるよ。」何だかテンションが高めなかのんちゃんに、少しだけたじろいでしまう。言われるがままにかのんちゃんの家に入ると、覚醒 西木野真姫 コスプレ衣装そこにはなぜか二人分の浴衣が用意されていた。「…かのんちゃん?」「ごめんね、せっかくお洒落して来てくれたのに。でも、今日はどうしてもこれを一緒に着たくて。」ピンクと青。色違いの二種類の浴衣。帯は私たちのイメージカラーであるピーチピンクとマリーゴールド。行先も教えて貰えず、家に招かれて早々浴衣に着替えさせられるという、この状況に大量の?が浮かんでしまう。でも、浴衣のデザインや帯の色から、かのんちゃんが今日のために真剣に選んでくれたことが伝わってくる。大切な人のそんな想いを前にしながら、首を横に振れるほど私は薄情な女ではない。

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