私は大丈夫。それより顔を上げてください

 ごもっともバーチャル 不破 湊 コス衣装な指摘に口をつぐむ。「そうしたいのは山々なんだけど……」「なんだけど?」「なんか、怖いじゃん? 知らないやつに君かわうぃーねなんて言ってみろ。相手が引くぞ、多分。それならここから眺めるだけでも十分っていうか……もし意中の相手がいたらそれこそ駄目っていうか……」胸の内に秘める気持ちをつらつらと並べていると、ちょこが背中に回り両腕を伸ばしてポルカを押し出した。「御託は並べなくていいからとっとと物語進めてきなさーい」体が一瞬宙に浮く。絶対にちょこより先に死んでやるという意気込みが喉まで出かかったが、時すでに遅し。相手の陣地にポルカは丸腰で放り込まれた。平衡感覚が崩れるが曲芸で鍛えた体幹を利用して体勢を整える。目と鼻の先に赤と青の着物が映る。花魁を模したちょこの着物と比べると肌の露出が少ない。「これは失礼した。目を見張るべき素晴らしい建造物に心を奪われてしまってね。眺めてたらいたずら風が背中に直撃してしまって……なんと詫びていいやら……」バーチャル 剣持 刀也 コス衣装「本当にそうだよ!ぼたん様、大丈夫ですか? お怪我はございませんか?」「私は大丈夫。それより顔を上げてください」聞いていて落ち着くような声に応じて地面ではなく相手の顔を見る。動くのは城ではなかった。国が動くほどの美人だ。横にいる付き人らしき人も美人、というよりはかわいい方に分類されるだろう。これだけで国が二つは落ちる。時間を忘れて見惚れていたが、側用人と思われる人の透き通った声で我に帰った。

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