多分宇宙人の文化と違いすぎて計算が出来ないのよね

 「じゃあ、ホロライブ さくらみこ コスプレ衣装乾杯」ピザを囲んで、不知火フレアが言った。広いカフェの中には他に客は無く、店内には静かなジャズが流れていた。「何に乾杯?」 尾丸ポルカが訊いた。「すいちゃんの安全を祈って」「分かった。祈ろう」フレアの言葉にノエルが頷いた。「祈ってる」さくらみこは強く目を瞑って念じた。「安全を祈んなきゃいけないのは、すいちゃんだけじゃないでしょう。東京だって、襲われるかもしれないんだよ」星街すいせいは顔を引き締める。「とりあえず私たちは前線に行くわけじゃないからね」ノエルは喫茶店のモニターに目を向けた。そこでは虫とも戦車ともつかない異形の生き物が街を壊している。数年前に突如現れたその敵は、人類と敵対し、多くの都市を破壊した。世界にある大都市の半分は、すでに廃墟となっている。「結局、あれって何なの?」モニターに目を移してフレアが言った。情報は交錯し、エイリアン説に、環境破壊で変異した原生生物説、軍の生物兵器に暴走したAI兵器説など、不確定な情報が飛び交っていた。「公式の発表だと、宇宙人の機械なんだって。何だっけ、ナノマシン? 増殖する細胞サイズの小型のロボットで、次々と惑星を征服してるんだとか」ポルカが答える。「じゃあ、宇宙人が攻めて来たってこと?」「それが、違う」乗り出してきたみこに、ポルカは首を振る。「天体観測所から見ると、あの虫たちを送って来た星系はとっくに滅びてる。超新星爆発だか何だかでね。でも、ナノマシンだけは生き残って、たどり着いた星を改良するって命令だけでずっと動いているの」ホロライブ ワトソン・アメリア コス衣装「最悪じゃん」ノエルが顔をしかめる。「そう、最悪。虫たちは高速、高性能。高度な弾道予測と確定予測計算で弾丸も砲弾も避けるし、ミサイルも余裕で撃ち落とす。毒も無効化するし、無人機にも追いついて、簡単に撃ち落とす。人類は打つ手なし」「すいちゃん以外はね」フレアが見ると、すいせいは眉をひそめた。「私じゃなくて〈歌〉ね。確定予測計算機は環境にある情報を全部収集しちゃうんだけど、感情を乗せた歌を情報に入れると、情報量が多すぎて計算が遅れる。多分宇宙人の文化と違いすぎて計算が出来ないのよね。ただ、効果的なのは録音じゃなくて生歌に限る」「で、その中で一番虫たちに効果的だった歌い手がすいちゃん。人類はすいちゃんを中心にして反抗作戦を組んだってわけ」フレアが説明する。残った兵力を結集して星街の歌でフリーズした〈虫〉たちを掃討する作戦がたてられた。ほかにも歌い手は数名選出されているが、中核は彼女に決まっている。

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