意識の表層を最初に撫でてくるのは嗅覚だと、気づいたのは中学の時だった。

 目を開けるよりも早く、鼓膜が震えるよりも早く、夢の暗闇から出ていく時にはまず匂いの感覚が意識を出迎えてくれる。ブルアカ 杏山カズサ コスプレ衣装



 ベンチに被さるように茂る葉の香り。最近整備された花壇から昇る香り。硝煙の香り。火薬の香り。元々公園にあった香りと私が持ち帰ってきた香りが混ざりあった複雑な感覚が鼻の奥から伝ってくる。
 そうした香りを感じてからようやく止まっていた脳の血液が流れ始め、私は眠りにつく前後を思い出す。
 ベンチは人が寝るのに不適切な真っ平らな板でできている。それでも抗えない眠気、取り戻した平和に応じた街の静けさが私を眠りへと誘ってくれる。顔についた煤を払う余力もなく夢の中へと沈む。ここのベンチは昔から変わらず、風雨に晒され続けても私一人の体重程度では折れたりしない。私の中学の時から交換された形跡はない。トリニティの自治区とはいえ、公共物の交換は被害がないと中々行われない。高い耐久性が裏目になって、いつかついた弾痕を残したまま、この公園に居座り続けている。どこかのように誰かに占拠されることもない平和な公園だ。ブルアカ ミドリ コスプレ衣装
 膝から下をベンチの外に投げ出し、差し金みたいな体勢で眠るのが私のルーチン。他人より小柄な私の身長ではベンチの長さをはみ出さないどころか一人分以上空けている。完全に占領していると罪悪感があるけれど誰かが座る余裕があれば、とは身勝手な考えかもしれない。そんな気遣いの甲斐なくこのベンチが私以外に使われているのを見たことない。
 勝利の余韻に浸りながら意識を遠のかせていく。それが変わらない私のお気に入りだ。
 香りに満足し、頭も冴えてきて、そろそろ瞼を開けてもいい頃だった。疲れで少し重くなった体を起こし、守り切ったリュックを背負って家に帰ろう。
 一人で突撃し、一人で帰る。
 突撃が原因で一人なのか、一人だから突撃しているのか、判断がつくほどきっかけは最近でもないしきっとはっきりした契機でもないし大して悲観することでもない。
 気づけば正義に傾倒し気づけば行動に移していた、私にとっては純粋にそれだけだ。
 軽い寝返りをうってから目をゆっくりと開ける。微睡みをゆるやかに頭の端に除けながら、全身の弛んでいた筋肉に少しずつ力を入れていく。
 瞬間、寝る時にはなかった香りが鼻先をくすぐった。私が持ち込んだわけでも公園にあったわけでもない香り。
ブルアカ モモイ コスプレ衣装

コメント